引っ越しや買い替えで家庭用のルームエアコンを処分しなければならないことってありますよね?
そんな時どのように処分したらいいのか、すぐに具体的な答えを示せる方は多く無いと思います。
私も空調工事業者としてお客様の物件から撤去したルームエアコンの処分を代行することがありますが、エアコンの工事業者だけでなく、そのエアコンの所有者となる一般の方々にも処分の仕方について知っておいていただきたいと思い、今回解説させていただきます。
ルームエアコンは家電リサイクルの対象機器
『家電リサイクル法』では、以下の4品目が対象とされています。
- エアコン
- テレビ
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 洗濯機・衣類乾燥機
これらは燃えないゴミや粗大ゴミでは処分することができないため、家電リサイクル法に沿って処分することになります。
その中で、どんなエアコンがその対象となるのかというと、
- 室内機が壁掛け形か床置き形のセパレート形のルームエアコン
- 家庭用のマルチエアコンで、室内機が壁掛け形か床置き形がある場合(組み合わせ内で壁掛け形・床置き型以外の室内機は、対象外のため別途処分となる)
- 壁掛け形か床置き形のセパレート形のハイブリッドエアコン(石油、ガス、電気併用エアコン等)
- ウインド形エアコン
となります。
注意点としては、
- 壁掛け形や床置き形でも、業務用のパッケージエアコンは対象外となる
- 家庭用のマルチエアコンで、組み合わせの室内機に壁掛け形や床置き形が全くない場合は、室外機も含め全てが対象外となる
- ハウジングエアコンという、家庭用に設計されたエアコンも、天井カセット形のものがほとんどのため対象外となる
この辺りは間違えやすいので注意が必要です。
個人的にはなぜこのような区分になっているか考えたのですが、恐らく機器の所有者自身が取り外しをして家電量販店や指定引取り所に持ち込んだりすることを想定していて、天井カセット形や壁埋め込み形は一般の方で取り外すのは無理があるので対象外としているのかなと、、、(あくまで個人的な推測です)
どちらにしても、エアコンの取り外しは冷媒ガスを室外機に押し込むポンプダウンというものをしなければなりませんし、電線をはずしたりする作業があり、手順を間違えると冷媒ガスによる凍傷や感電の恐れもあるため、やはり業者に取り外しをしてもらうのをお勧めします。
家電リサイクル法に基づいた処理の仕方
ルームエアコンを家電リサイクル処分する方法は大きく2通りあります。
- 家電量販店で引き取ってもらう
- 郵便局でリサイクル料金を払い込んで収集運搬業者に引き取ってもらう
- 郵便局でリサイクル料金を払い込んで指定引き取り所に持ち込む
①家電量販店で引き取ってもらう
まず、家電量販店で引き取ってもらう場合ですが、古いエアコンを処分だけする場合と、新しいエアコンに買い換える場合とで少し異なります。
- 古いエアコンだけを処分する場合 → そのエアコンを購入した店舗に引き取りを依頼する。
- 新しいエアコンに買い替える場合 → 新しくエアコンを購入する店舗に引き取りを依頼する。
処分だけで、もし購入した店舗が不明な場合は市区町村によって案内された方法で処分しましょう。
基本的なリサイクル料金は990円〜9900円(ほとんどのルームエアコンは990円、一部のハイブリッドエアコンが高額になる)で、それに収集運搬料金が加算されます。
家電量販店で家電リサイクルを依頼する際は、出張引き取り時だけでなく、店舗に持ち込む場合でも収集運搬料金がかかってきますので、後述する自分で持ち込む方法に比べ割高になっています。収集運搬料金は家電量販店毎に異なり、買い換えか処分だけかでも料金が異なったりします。
新しいエアコンの購入時はその量販店で対応してもらえるとことがほとんどだと思いますが、処分だけを依頼する際は、まずは引き取り可能かどうか問い合わせして、合わせて料金も確認しておきましょう。
②郵便局でリサイクル料金を払い込んで収集運搬業者に引き取りを依頼する
リサイクル料金の払い込みは郵便局でもできます。まずは郵便局でリサイクル券をもらい、必要事項を記入します。
注意点としてこの時、品目やメーカーのコード番号、リサイクル料金を自分で記入しなければならないのですが、ネットで調べるか、リサイクル料金一覧表を郵貯の窓口で借りて確認して記入しなければなりません(一覧表は持ち出し禁止のため、郵便局内で確認して記入しなければなりません)。
記入を終えたら郵貯の窓口でリサイクル券を提示し、料金の払い込みを行います。この時手数料がかかるのですが、2022年1月から値上がりしており、窓口振り込みの場合《313円》がかかります。ATM振り込みであれば《203円》で済みます。
払い込みが終わったらお住まいの自治体のホームページから、家電リサイクルの指定収集運搬業者を検索し、収集依頼の連絡をしてエアコンを回収してもらいます。この場合収集運搬料金が発生しますので確認しておきましょう。
③郵便局でリサイクル料金を払い込んで指定引き取り所に持ち込む
ご自分で運搬のための車輌を用意できるのであれば、郵便局でリサイクル料金を払い込んで指定引き取り所に持ち込むのが一番安くリサイクル処理できます。
②の場合と同じようにまずは郵便局でリサイクル券に必要事項を記入し、料金の払い込みを行います。
手数料は同じく窓口振り込みの場合《313円》、ATM振り込みであれば《203円》かかります。
しかし収集運搬料金が発生しないため、主要メーカーの一般的なルームエアコンであれば《1193円〜1303円》でリサイクル処理することができます。
払い込みが終わったら自治体のホームページで最寄りの指定引取所を確認しましょう。リサイクル券にはエアコンに貼り付けるシール(室内機用、室外機用)がついていますので、下記の図のように対象のシールを貼って持ち込みましょう。
よく分からない場合は、貼らずにそのまま持ち込めば引取所の職員さんが教えてくれます。

空調屋が家電リサイクルを代行する際の注意点
家電リサイクルの手続きは本来、エアコンの所有者が行うべき義務ですが、エアコンの入替工事を行った工事業者がリサイクル料金の払い込みから運搬までをお客様に代わり行うということが結構あります。
ここでの注意点が、
- 手続き代行をする際、リサイクル券に記入するのはエアコンの所有者(排出者)の名称で記載するため、振替払込請求書兼受領証(領収書のようなもの)の宛名はエアコンの所有者であるお客様のものになる
- 家電リサイクル法における収集運搬業務を依頼する業者としての適格から言えば、代行で収集運搬するには『一般廃棄物収集運搬業許可』または『産業廃棄物収集運搬業許可』を持っている必要がある
の2点です。
①に関しての問題点は、代行した業者の宛名の領収書が存在しないということです。
よく、工事代金に含まれて処理しているという話も聞きますが、郵便局で払い込む際、お客様の名称を宛名として払い込むには窓口での支払いになると思いますが、その際現金で支払うことになります。
その現金で支払った分の領収書(ここでは振替払込請求書兼受領証)の宛名はお客様のものとなるため、もし工事業者の手持ちから支払ってしまうと、それに対応した領収書がないため財務処理ができず、使途不明金として計上されてしまいます。
そのため、もし払い込みを代行する際は『現金』で頂く必要があるので注意してください。この辺りが説明しても納得していただけないお客様もいらっしゃったりするので、もっと世間に認知されてほしいところです。
②に関しては、正直引取所に持ち込んで身分証明を求められることは無いので、排出者であるエアコンの所有者本人が持ち込んでいるという体でいけばやり過ごせてしまうのですが、本来、収集運搬を依頼された業者は『一般廃棄物収集運搬業許可』または『産業廃棄物収集運搬業許可』を持っている必要があります。
不要なトラブルを避けるためにも許可を取得しておくのをお勧めします。
この場合の収集運搬費、は工事の際の見積りに含んで工事代金と一緒に請求していただけば大丈夫です。
まとめ
以上、買い替えや処分の際に必要となるエアコンの家電リサイクルについて解説してきました。
空調工事に携わるものとしては、やはりDIYでルームエアコンを取り外すのはお勧めできません。家庭用といえど一歩間違えば冷媒ガスや電気系統の重大な事故に繋がるという怖さを知っているからです。ケガなどがなくても、冷媒ガスが抜けてしまったり、エアコンの故障の可能性もあります。
それでも費用を極限まで抑えたいという方は専門的な知識を得た上で自己責任でお願いいたします。今は分かりやすい動画などもたくさんありますね。
それからもし業者に依頼する際も廃棄物収集運搬許可を持っているか確認しておくと安心です。そしてリサイクル料金の払い込みまで依頼する際は「リサイクル料金+手数料」をこちらで確認していただいて、この分だけは『現金』で業者さんに預けていただけると助かります^^;
以上、参考になれば嬉しいです!
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