こんにちは。しがない空調配管工KSKです。
過去に空調業界の現状を踏まえた上で空調屋になりたいと思う方へ向けた記事を書かせていただきましたが、今回はより空調屋に勧誘するような感じで書いていきたいと思います(笑)
万人にお勧めできる職業ではないですが、どんな仕事でどんな人に向いているのか解説していきます。
空調屋に転職をおすすめできるのはどんな人か?
まず、空調屋に転職をお勧めできるのは以下のような人です。
- 特に誇れるような学歴がない
- 特にやりたいこと、目標が無い
- 手先が器用
- 健康で体力に自信がある
上記のような特徴を持った、
- ニートやフリーターの方
- コロナの影響等で失業した方
- 今の職業で人間関係のストレスが絶えない方
そんな方は空調屋さんになりませんか?
なぜなら空調屋の仕事は、
- 健康で体力があれば何歳からでも挑戦できる
- 学歴は関係なく仕事がこなせるようになれば稼げる
- 人間関係は最小限で済む
からです。
空調屋はどんな仕事?
「空調屋」というと、大きく分けると
- 工事業者
- 施工管理業者
- 保守・メンテナンス業者
があります。
この中でも今回は、私も属しています「工事業者」という意味での空調屋の仕事について解説していきたいと思います。
業務用エアコンの空調工事

業務用エアコンの空調工事は以下のような工事があります。
新築のビルや大型施設のビル用マルチエアコンなどの工事
新築のビルや大型施設では、1台の大型の室外機に対して複数の室内機を同一系統にもつビル用マルチエアコンや、それ以外の店舗・事務所用のパッケージエアコンなどが何百台と採用されます。主にその空調機の設置及び冷媒配管、ドレン配管、連絡配線、リモコン配線などを行う工事です。
たまに冷温水による冷暖房を行う空調システムが採用されることもありますが、一般的に「空調屋」が行うのは冷媒を用いたヒートポンプ空調機のシステムの配管です。※冷温水の配管は専門の業者さん行うことが多いです。
新築の店舗や事務所、病院など中小規模の業務用エアコンの工事
新築の店舗や事務所、クリニックなど中小規模の施設では店舗・事務所用のパッケージエアコンが採用され、中には小型のマルチエアコンを採用する場合もあります。大型施設に比べ規模は小さくなりますが、同じようにその空調機の設置や冷媒配管、ドレン配管、連絡配線、リモコン配線を行う工事です。
小部屋など、部分的に家庭用エアコンを取り付ける場合もあります。
業務用空調機の更新工事
新築の工事だけでなく、設置されてから耐用年数を超えた古い空調機や故障してしまった空調機を撤去して、新しいものに更新するという工事です。撤去した空調機を廃棄する場合は冷媒回収も行う必要があります。
通常稼働している施設で行うので、店休日や夜間に行うことが多いです。
業務用空調機の移設工事
まだ使用できる業務用空調機を同じ施設の別の場所、または全く別の施設に移設するという工事もあります。
既設の空調機を取り外すために、運転できる店舗・事務所用のパッケージエアコンであればポンプダウンして配管の切り離しができますが、ビル用マルチエアコンは基本的に冷媒ガスを追加充填しているのでガスが室外機に入り切らず、冷媒回収が必要になってくることが多いです。
室内機だけの移設の場合も、冷媒配管内の冷媒ガスをポンプダウンか冷媒回収で取り除く必要があります。
家庭用エアコンの取付工事

家庭用エアコンの取付工事は以下のような工事があります。
一般住宅やマンションでの新規の家庭用エアコンの取付工事
新築でもそうでなくても、戸建の一般住宅やマンションに新規で家庭用エアコンを取り付ける工事です。
室外機、室内機の設置とその間の冷媒配管、連絡配線、そしてドレン配管を行います。
マンションなどコンクリート造の建物は配管を屋外に通すための穴(スリーブ)があらかじめ設置されていることが多いですが、戸建住宅などは自分で穴を開けなければいけないので、開ける場所の選定や実際に開ける作業は経験と知識が必要になります。
家庭用エアコンの更新工事
戸建の一般住宅やマンションにすでに取り付けられている家庭用エアコンを撤去して、新しいものに更新する工事です。
撤去した家庭用エアコンは家電リサイクルで処分する必要があります。
家庭用エアコンの移設工事
家庭用のエアコンも、別の場所に移す移設工事を行う場合があります。
室内機だけの移設ではなく、丸ごと別の部屋か別の住居に取り付ける場合がほとんどだと思います。
業務用と同じく、取り外しの際はポンプダウンして配管の切り離しをしなければなりません。
空調業界の現在は?

年々過酷になる夏場の暑さ
温暖化が進む中で、年々過酷になる夏場の暑さで熱中症になる方が増えてきており、古い学校など、今まで空調機が設置されていなかったところにも設置するための公共工事が増加しています。
また、空調機の負荷が増えて故障が発生することで修理や更新工事の需要も増えています。
旧世代のR-22という冷媒ガスが2020年に実質全廃
かつて多くの空調機に採用されていた「R-22」という冷媒ガスが2019年で生産終了、2020年に実質全廃ということで、このR-22という冷媒ガスを採用している空調機の修理が困難になることから、現在主流のR−32やR410Aという冷媒ガスを採用した空調機への更新工事が増加しています。

R-22を採用している空調機はそもそも耐用年数を超えていますね、、、
若い人材が定着せず、空調に限らず建築業界全体が高年齢化
空調業界に限らず、若い人材がなかなか定着していない印象があります。
その要因になってるような建築業の特徴は以下のようなものがあると思います。
- 他の業種に比べて閉鎖的で昔ながらの慣例が色濃く残る
- 休日は日曜日のみという会社が多い(新築工事でも日曜日以外は動く現場が多い)
- 朝8時から朝礼のある建築現場等では早朝に家を出る必要がある
- 17時に現場が終わっても会社まで戻って翌日以降の準備をする必要がある
- 職人のマニュアルのようなものは無い
- 直接丁寧に仕事を教えてもらえるのは幸運な環境
- ほとんど先輩の仕事を盗み見して覚える世界
現在は働き方改革の流れに寄り添ってきている
そんな古い慣例の色濃く残る建築業界も時代の流れに少しづつ寄り添ってきているように感じます。
例えば、
- 大手ゼネコンの建築現場では週休制2日制の導入
- 中小規模の工事業者も可能な限り週休制2日制導入
- 企業ごとの努力で可能な限り拘束時間を短縮
- 先輩が後輩に仕事を丁寧に教え、新人も疑問を投げかけやすい環境づくり
という状況になってきています。
やはり、若い人材を定着させたいので、給料面のみならず、可能な限り今の時代の若者が納得して働くことのできる環境づくりが今後の課題でしょう。



とは言っても、
例えば週休2日制を現場で導入するには、工期を長くとってその分現場管理費を高く見積もったり、同期間に少ない工事日数で現場を治めるためには多少費用が高くついても業者や職人の数を増やしたりしなければならず、工事代金は上がってきていないのにかかる費用ばかり上がっていては週休2日制の実現は厳しい、、、。
他にも工程次第では日曜日や夜間の仕事もあったりするわけで、そういうイレギュラーは起こりうるし、ただ休みを求めるだけでなく、労働者にとって無理なく、雇用者との信頼関係の中で納得した上での労働であれば問題ないのかなと思います。
空調工事の実務を覚えるには?


家庭用エアコンの施工はYouTubeでも覚えられる
家庭用エアコン(ルームエアコン)の施工に関しては有名なYouTuberさんもいらっしゃるので、正直独学で覚えることも可能かと思います。
しかし最初はやはりプロの指導を受けて、「安全に」「確実に」取り付けられるようになった方がいいでしょう。
素人が見ようみまねでやって、怪我や重大な事故が起きないとも限りません。
それでも業務用と比べると未経験から参入していきやすいと言えます。
業務用エアコンは独学は難しい
業務用エアコンの施工に関しては、素人がいきなり仕事を請け負うような分野ではありません。
家庭用エアコンの取付を大量にこなしてきていたとしても、未経験でいきなり業務用の空調工事を請け負うのはおすすめできません。
ルームエアコンの業者でも、据付説明書をよく読みそれに沿う形で施工すれば、店舗などでシンプルなシングルの天井カセット型エアコンの取り付けくらいはできるかもしれません。
しかし、ルームエアコンに比べ配管サイズも太くなったりするので使用する道具や材料も変わってきますし、どこが重要なポイントか分からず、コストダウンできるポイントの判断もできない可能性が高いです。
また、そこそこの規模の新築の現場、ゼネコンの現場などをいきなり受けてしまうのも危険です。
小規模な店舗・テナント工事などとは全く勝手が違うので、立ち振る舞いも変えなければなりませんし、実際ルームエアコン屋さんがビル用マルチエアコンの仕事を請け負った結果、色々とやらかしてしまっている現場というのに出くわしたことがあります。



その時は元請さんが見かねて業務用をできる職人を応援に入れたので、なんとか最後まで納め切ることができましたが、応援なしで最後までいっていたらとんでもないことになっていたと思います、、、
では業務用空調工事の仕事はどのように覚えるのかというと、やはり空調工事会社に就職して覚えるか、手伝いをしながら勉強させてくれる個人事業主の空調屋さんを見つけて応援として使ってもらいながら勉強するかになってくると思います。
職業訓練校で冷凍・空調の基本を学ぶことはできるかもしれませんが、実際の現場での立ち振舞いなどは実際に経験しないと分からないと思います。
建築現場での工事に関して詳しい情報が出回らないのには以下のような理由があります。
- 現場内の情報の口外が禁じられている
- 現場での動画の撮影、SNSでの拡散が禁じられていることが多い
そのため現場で実践しながら仕事を覚えていく必要があります。
実際の業務を覚えると共に、空調屋が持っておくべき資格をまとめた記事がありますので、併せて見ていただけると嬉しいです。


空調屋は稼げるのか?
空調屋になったはいいけど自分が送りたい生活に見合った収入は得られるの?
という疑問が出てくると思いますので、どういう働き方をすればざっくりどれくらいの収入を目指せるのかを解説していきたいと思います。
会社員配管工としては年収500〜600万円くらいで頭打ち
地域差もあるでしょうが、空調工事会社に勤めて配管工として目指せる年収は500〜600万円くらいでしょう。
その会社で役員などになれればさらに高い年収を目指せるかもしれませんね。
ただ、500〜600万円というと、他の業種でしたら大学まで行って頑張って就職した上で就職後も努力を継続してやっと得られるくらいの年収だと思います。
他の業種と比べて、肉体労働がメインで体力的に過酷だったり、事故や怪我といったリスクは高いですが、
- 学生時代にあまり勉強してこなかった
- 社会人になってから会社に馴染めず辞めてしまった
- なんとなくニートやフリーターをしてきた
というような人でも、今から始めて頑張ればそれなりの収入を得られるようになる、どの地点からでも人生をやり直せる職業の一つではないかと私は思っています。



そんな私も大学を中退して定職に就かず、29歳までフリーターをしていました、、、
しかし29歳から約10年間続けてきて、今ではそれなりの収入をいただいています。
就職した会社で役員になったりすればさらに高収入を得られるようになるかもしれませんね。
独立すれば数千万以上の売上も可能
会社に勤めたりして実力がついてきて、お客さんからの信頼も得ていて応援してくれる見込みがあるのであれば「独立」を視野に入れてもいいでしょう。
ルームエアコン業者であれば一人でも可能かもしれませんが、業務用を請け負うのであれば従業員なり仲間の応援なりが必要です。必ず横のつながりを持って、助け合える環境を作ってから独立しましょう。
仕事を「請け負う」ことができれば会社員時代とは比べ物にならないほどの売り上げになると思いますが、材料費や人件費など全ての経費がのしかかってきますので、ちゃんと利益が出ているのかを意識しながら経営していく必要があります。
うまく経営していけば従業員を雇ったりして規模を拡大し、いずれは法人化、億以上の売り上げも望めます。
しかし、
いつか仕事が途切れてしまわないか?
従業員をちゃんと食べさせていけるだろうか?
などというプレッシャーが常にあり、実際に仕事が続かず倒産してしまうリスクも大きいです。
そのため独立する際は相当の覚悟が入ります。
平均年収の高いサブコンに就職できれば高収入も見込めるが、、、
少し路線が違いますが、建築現場において空調工事業者の「トップ」となるサブコンに就職し、現場代理人になれば1000前後の高収入が見込めます。
しかしサブコンに就職するにはある程度学歴が必要ですし、現場の施工管理はものすごいストレスととんでもない残業時間で、正直お勧めできないです、、、
長年工事をおこなってきた職人さんが、高齢になって派遣でサブコンの代理人の補佐をするくらいであれば悪くない給料でそれほど負担もなく働けるかもしれません。
空調屋になるには?
実際に空調屋になるには以下のどれかになってくると思います。
- ネットで求人検索して空調工事業者に就職する
- 知り合いや身内の紹介で空調工事業者に就職する
- 職業訓練校で空調設備を学び空調工事業者に就職する
- 個人事業主としていきなり独立して空調工事を請け負う
①ネットで求人検索して空調工事業者に就職する
一番可能性の高い方法だと思います。ネットで探せば空調工事業者の求人は結構あります。
「indeed」は、インターネット上のデータから求人検索に絞って抽出、表示してくれるサービスなので、はたらいくやDODAなど、数多くの求人サイトの情報を一気に探せるというメリットがありますが、「空調」というキーワードで探しても、その単語が入っているというだけで全く関係のない職種の求人が表示されてしまったりして、少し見つけにくいかなとも思います。
お勧めなのが建築業の求人に特化した「助太刀社員」というサイトです。


このサイトでは地域だけでなく、業種を細かく絞り込めるので、目的の職種の求人が探しやすいです。
ただ、求人情報のボリュームにはまだ地域差があるので、これからもっと知名度が上がって求人を出す会社が増えればさらに便利になりそうですね。
このサイトを運営している「株式会社助太刀」さんは、アプリの開発もしており、応援の職人さんを探せたり、建築業の発注・請負のマッチング、その工事代金の支払いもそのアプリで完結できるというとても魅力的な仕組みを作っているのですが、そのアプリの利用者でモラルが低い方がいらしたり、まだトラブルが多いようです、、、
利用者のモラルが全体的に上がってシステムが安定すればすごく便利なアプリになるのは間違いないと思います。
②知り合いや身内の紹介で空調工事業者に就職する
知り合いや身内に空調工事関係の方がいれば、空調工事業者を紹介してもらって就職することもできます。
詳しい話を事前に聞けたりするかもしれませんね。
③職業訓練校で空調設備を学び空調工事業者に就職する
厚生労働省の制度である職業訓練校では、失業や転職の期間中、受講手当をもらいながら専門的な知識、技術を学ぶことができます。(テキスト代は有料の場合あり)
受講期間は短期コースで1〜2ヶ月、長期コースは1年間など、期間は受講科目によって異なるようです。
卒業したらハローワークに求人を出している空調工事業者などで面接を受けて就職したりできます。
詳しくは厚生労働省のホームページにて確認するか、最寄りのハローワークにて問い合わせしていただければと思います。
④個人事業主としていきなり独立して空調工事を請け負う
正直あまりお勧めしません(・_・;
前述の通り、家庭用エアコンは動画などで勉強できるので取付できないこともないですが、いきなり一人で実戦に挑むのは危うすぎます。何か事故が起こりかねません。
やはり空調工事業者に就職して経験を積むか、知り合いの空調屋さんの応援として勉強させてもらいながら経験を積むことをお勧めします。
まとめ
以上、空調屋という職業について解説してきました。
空調屋はさまざまな電気工事や設備工事の分野を「広く」「浅く」取り入れた中途半端であると言えます。しかしそこからいろんな職種にもアプローチできる特殊な職種だと思います。
電気工事士の資格をとって電気工事士に転職もできますし、溶接技術を活かして冷媒配管専門の配管屋さんになることもできます。
それに加えて、
- 特に学歴がなくても
- 体力に不安がなく健康であれば
- 何歳からでも
- そこそこの収入を目指せる
そんな素晴らしい職業ではないかと思います。
空調屋という職業の魅力が伝わり、一人でも多くの空調屋さんが増えて空調業界を盛り上げてくれると嬉しいです。
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