こんにちは、しがない空調配管工KSKです。
昨年(令和3年)11月に受験した2級管工事施工管理技士検定の合格通知が先日届きました。

これを受けて、
どのような資格なのか?
受験するのに必要な要項は?
新制度になって何が変わったのか?
どう勉強したらいいのか?
などを解説していきたいと思います。
管工事施工管理技士の資格についてよく知らないけど受験してみたいという方から、すでに合格に向けて取り組んでいる方の参考になれば嬉しいです。
ちなみに今回は、主に2級について話を進めていきたいと思います。ほとんどの方は2級から受験することになると思いますし、私自身がまだ2級しか受けていないので、1級についてはまた機会があれば記事にしたいと思います。
管工事施工管理技士とは?
テナントや小規模な工事ではあまり話題にならないと思いますが、基本的に工事現場での空調工事を含む管工事においては、「専任技術者」や「主任技術者」というものを設置しなければなりません。
安全書類の作成などを担当したことがある方でしたら、再下請通知などに専任技術者や主任技術者の氏名を記入する欄があるのをご存じだと思います。空調工事(冷暖房設備工事)においてその専任技術者や主任技術者に任命するための必要資格として通用するのが「管工事施工管理技士」です。そのため空調工事業者にはこの有資格者が在籍する必要があります。※もしいない場合は10年以上の実務経験を任命資格として提出する場合もあります。
空調工事以外にも、給排水・給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事など配管設備工事全般が「管工事」の範疇になり、現場での施工、品質、安全、コストに至るまで総合的な管理が施工管理技士の仕事です。
管工事施工管理技士は国家資格
管工事施工管理技士の資格を得るには、国土交通大臣の指定期間である「全国建築研修センター」の実施する「管工事施工管理技術検定」という国家試験に合格する必要があります。そのため管工事施工管理技士は国家資格となります。
1級と2級の違いは?どちらを受験すればいい?
管工事施工管理技士には1級と2級があり、1級管工事施工管理技士を持っている場合のみ、「監理技術者」に任命することができます。「監理技術者」とは、特定建設業の大規模工事において配置が必要となる役割です。
ちなみに特定建設業とは、元請けとして受注する1件の工事において、下請け工事に出す金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)となる工事のことです。
特定建設業以外の一般建設業として請け負う管工事における「専任技術者」及び「主任技術者」に任命する場合は1級でも2級でも必要資格として認められます。
上記のように、特定建設業の工事を請け負う(元請として受注して4,000万円以上の工事を下請け工事に出す)規模の会社に勤めている場合は1級の取得を目指すべきでしょう。
特定建設業以外の一般建設業しか請け負わない中小企業に勤めているならとりあえず2級を取得しておけば大丈夫です。
しかし、国や自治体が発注する公共工事を請け負う際に必要な「経営事項審査」というもので会社を評価される際に、1級の施工管理技士は1人当たり5点、2級の施工管理技士であれば2点が加算されますので、一般建設業においても1級の取得を目指すメリットはあります。
また、当然1級の方が合格難易度が高いため有していれば会社にも重宝されますし、もし転職する場合にも2級より高い評価を得られます。
管工事施工管理技術検定について
では、有資格者となるために受験する事になる「管工事施工管理技術検定」について、2級の技術検定を中心に解説していきたいと思います。
試験は第一次検定と第二次検定に分かれている
1級も2級も、試験が「第一時検定」と「第二次検定」に分かれています。
第一次検定
解答がマークシート方式で、機械工学や施工管理、法規に関する基礎的な知識及び、施工管理を的確に行うための基礎的な能力の検定を行う。
第二次検定
解答が記述式で、施工管理における主任技術者として施工管理を的確に行うための知識及び、主任技術者として設計図書の正確な理解、施工図の適正な作成、必要機材の適切な配置など行うことのできる応用能力の検定を行う。
令和2年度以前の旧制度と令和3年度からの新制度、何が変わったのか
令和2年度以前は「学科試験」と「実地試験」という名称で試験が分かれており、両方に合格してようやく「管工事施工管理技師を名乗ることができたのですが、令和3年度から試験制度が改正され、「第一次検定」と「第二次検定」という名称に変わりました。
そして「第一次検定」に合格すれば、1級、2級それぞれの「施工管理技士補(せこうかんりぎしほ)」という称号を得られるようになりました。
監理技術者に任命された者は基本的に現場の兼任(掛け持ち)ができないのですが、「1級施工管理技士補」をその現場に1人配置することで、監理技術者として兼任することができます。(もうひとつの現場にも1級施工管理技士補を配置する必要があります)
「2級施工管理技士補」については主だったメリットは今のところ確認されていないのですが、施工管理技士ほどではないにせよ経営事項審査での評価の対象にはなるようです。
検定の中身での変更点は、旧制度の「学科試験」では知識に関する検定、「実地試験」では能力に関する検定だったものが、新制度の「第一次検定」、「第二次検定」ともに知識・能力を検定するものになり、「第二次検定」の方がより高い応用能力を求めるような位置づけになっている点です。

実際に旧制度の「学科試験」「実地試験」、新制度の「第一次検定」「第二次検定」ともに受験した私の感想としては、全体的な試験の印象は変わりませんでしたし、出題された問題も過去問に近いものがほとんどでした。
なので過去5年分くらいの過去問をしっかりやっておけば大丈夫だと思います。
申し込み受付期間・試験日・合格発表日・検定手数料
受験の仕方には、以下の4通りあります。
- 「第一次検定」(前期)のみを受ける
- 「第一次検定」(後期)のみを受ける
- 「第二次検定」のみを受ける
- 「第一次検定」・「第二次検定」を同時に受ける
それぞれの場合について、令和4年度の2級管工事施工管理技術検定における申し込み受付期間、試験日、合格発表日、検定手数料は以下の通りです。
①「第一次検定」(前期)のみを受ける場合
申し込み受付期間 ・・・ 令和4年3月2日(水)〜令和4年3月16日(水)



現時点で過ぎてしまってました、、、すみません(~_~;)
試験日 ・・・ 令和4年6月5日(日)
合格発表日 ・・・ 令和4年7月5日(火)
検定手数料 ・・・ 5,250円
②「第一次検定」(後期)のみを受ける場合
申し込み受付期間 ・・・ 令和4年7月12日(火)〜令和4年7月26日(火)
試験日 ・・・ 令和4年11月20日(日)
合格発表日 ・・・ 令和5年1月20日(金)
検定手数料 ・・・ 5,250円
③「第二次検定」のみを受ける場合
申し込み受付期間 ・・・ 令和4年7月12日(火)〜令和4年7月26日(火)
試験日 ・・・ 令和4年11月20日(日)
合格発表日 ・・・ 令和5年3月1日(金)
検定手数料 ・・・ 5,250円
④「第一次検定」・「第二次検定」を同時に受ける場合
申し込み受付期間 ・・・ 令和4年7月12日(火)〜令和4年7月26日(火)
試験日 ・・・ 令和4年11月20日
合格発表日 ・・・ 令和5年3月1日
検定手数料 ・・・ 10,500円
2級管工事施工管理技術検定の受験資格について
2級の受験資格は以下の通りです。
第一次検定の受験資格
受験する年度の末日における年齢が17歳以上の者
第二次検定の受験資格
大学卒業者または専門学校卒業者(「高度専門士」に限る)
①指定学科の卒業者 ・・・ 卒業後、管工事施工の実務経験年数が1年以上
②指定学科以外の卒業者 ・・・ 卒業後、管工事施工の実務経験年数が1年6ヶ月以上
短期大学卒業者、高等専門学校卒業者または専門学校卒業者(「専門士」に限る)
①指定学科の卒業者 ・・・ 卒業後、管工事施工の実務経験年数が2年以上
②指定学科以外の卒業者 ・・・ 卒業後、管工事施工の実務経験年数が3年以上
高等学校卒業者、中等教育学校卒業者または専門学校卒業者(「高度専門士」「専門士」を除く)
①指定学科の卒業者 ・・・ 卒業後、管工事施工の実務経験年数が3年以上
②指定学科以外の卒業者 ・・・ 卒業後、管工事施工の実務経験年数が4年6ヶ月以上
技能検定合格者
管工事施工の実務経験年数が4年以上
その他の者
管工事施工の実務経験年数が8年以上
以上が受験資格になります。



第一次検定は年齢さえクリアすれば実務経験年数に関係なく誰でも受験することができますので、ある程度経験を積んで業界に慣れてきたら積極的に挑戦してみましょう!
令和3年度以降の新制度で受験し、第一次検定に合格した方は、そのあと無期限で何回でも第二次検定の受験資格を得るのですが(第一次検定を免除される)、旧制度の「学科試験」を合格した方が今後第一次検定の免除を受けて第二次検定を受験するには複雑な条件がありますので、全国建設研修センターのHPで確認していただけると助かります。
2級管工事施工管理技術検定の申し込みについて
それでは検定の申し込みについても解説していきたいと思います。
受験の申し込みに必要なもの
初めて受験する際は以下のものを揃える必要があります。
- 1部600円の申込用紙(願書)を購入して必要事項を記入したもの(A票、C票、D票)
- 住民票(※申込用紙の「C票」に11桁の住民票コードを記載した場合は不要)
- 証明用写真(試験時の本人確認とともに、合格証明書に印刷される写真にもなる → C票に貼り付け)
- 振替払込受付証明書(申込用紙一式に同封されている払込用紙を使用し、受験する検定に必要な手数料を郵便局で支払って受け取る → D票に貼り付け)
- 受験資格として適用する資格を証明する物(卒業証明書など、適用する資格がない場合は不要)
申込用紙は販売期間があり、基本的に申込受付期間の少し前から申込期限まで窓口で1部600円で販売されています。インターネットや電話での購入は申込期限より少し前に販売を締め切ります。
令和4年度の申込用紙販売に関しては、
「第一次検定(前期)」用 ・・・ 令和4年2月18日より販売開始 ※販売期間過ぎてます(~_~;)
「第一次検定・第二次検定、第一次検定(後期)、第二次検定」用 ・・・ 令和4年6月27日より販売開始
しかし販売窓口が全国で10カ所ほどしかないため、近くに販売窓口が無い場合はインターネットや電話での購入になると思いますが、送料が別にかかってきます。
また、窓口販売よりも販売期間が数日短いため、早めの購入をおすすめします。



私はたまたま窓口が買いに行ける場所にありましたので窓口で購入しました。
また、最終学歴が「高卒」ですので、母校に卒業証明書の発行も依頼しました。郵便為替を購入して簡易書留で送ったりと、少し手間がかかりましたね、、、。
必要な書類がそろったら、指定の申込用封筒に書類一式を同封し、簡易書留で期限内に提出しましょう。締切日当日の消印まで有効とありますが、早めに出すに越したことはありません。申込用紙に同封されている受験の手引きを確認しながら書類の不備などが無いよう余裕をもって準備し、提出しましょう。
申込書は会社の仲間同士数人で受験する際でも1つの指定封筒につき1人分の申込書しか認められませんので、注意しておきましょう。
実際の試験はどのような感じか
それでは実際の試験までの流れを解説していきます。
受験票が届く
無事申込書が受理されると、試験月の初めごろに受験票が届きます。受験票の送付先は任意で記入できますので、自宅以外にも会社で受け取ることもできます。
発送予定日と〇〇日までに受験票が届かない場合は問合せするよう手引きに書いてありますので、もし発送予定日後しばらくたっても届かない場合は問合せしてみてください。
また、受験資格がなかったり、書類の不備があれば事前に書面での連絡が来ることになっていますので、郵便物をこまめにチェックしておいたほうがいいでしょう。
試験当日のスケジュール
いよいよ試験当日です。基本的に日曜日に行われますので、受験しやすいと思います。
受験票や筆記用具(鉛筆かシャープペンシル)を忘れないようにしましょう。
試験時間
第一次検定のみの場合 ・・・ 10時15分までに入室。10時30分~12時40分まで。
第二次検定のみの場合 ・・・ 13時45分までに入室。14時~16時まで。
第一次・第二次検定同時受験の場合 ・・・ 10時15分までに入室。10時30分~16時まで(お昼休憩あり)
試験内容
第一次検定
前述の通りマークシート方式での解答になります。機械工学・施工管理・法規に関する知識問題に加え、施工管理に関する基礎的な能力を問う問題が出てきます。
「必須問題」と「選択問題」があり、選択問題では<問題No.〇〇からNo.△△までの□□問題の内◇問題を選択し、解答してください。>という形の出題があります。給排水、換気、空調などの問題がありますので、自信のあるものを選びましょう。



自分の職種にこだわらず、過去問でやった覚えのあるものを選択するほうが合格率は高くなると思います。
空気線図や工程表の問題は必ず何パターンかやっておくことをお勧めします!
第二次検定
第一次検定と違い、記述式での解答になります。主任技術者として現場で施工管理をするうえで品質、安全管理を適正に行えるかを問う問題が出てきます。
第二次検定にも「必須問題」と「選択問題」があります。必須問題は給排水、ガス、換気空調などからまんべんなく出題される印象ですが、過去問のアレンジであることが多いです。
選択問題は2つあり、2つめの分は毎年工程管理と法規に関する問題の2択です。



私は暗記に自信がなかったので、令和2年度、令和3年度共に工程管理の問題を選択しました。
色々な条件がある中で実際に工程表を書いてみて、どの工程がいつになるか、最短で何日かかるかなどを記述解答する形なのですが、これはしっかり問題を読み解いていけば解けますので、法規を暗記する余裕がなかった方にはお勧めです。
ただ、法規を暗記できたほうが試験は早く解答できます、、、(-_-;)
そして最後に施工経験記述の問題があります。
経験したことのある管工事のうちから代表的な工事を1つ選び、その工事名、工事概要、現場での役割を記入し、その現場での品質管理、安全管理について記述するような問題です。
これはどの現場について書くか決めて、過去問を参考に練習しておきましょう。
合格基準はどれくらいか
第一次検定 ・・・ 40問中24問以上の正解で合格(60%以上)
第二次検定 ・・・ 得点が60%以上で合格
どれくらい勉強したらいいのか
第一次検定は単純に正答数ですが、第二次検定は問題ごとの得点がよく分からないため、やはりまんべんなく勉強しておくことが求められます。記述問題に関しては、出題の意図を理解し的外れでない解答をしっかりと書ければ大丈夫だと思いますので、普段の現場で気を付けていることを思い出しながら解答しましょう。
勉強期間は一日何時間するのか、何時間使えるかにもよるので具体的に言えませんが、最近の過去問を5年分くらい完璧にやっておけば60%は正解できるのではと思います。
ちなみに私が使用した問題集は2種類で、以下の前年度版です。
よかったら参考にしてみてください。
まとめ
最後に、もし不合格になって再度受験する場合は翌年受験しやすくなることが多いので補足しておきます。
令和4年度に再受験する場合を例としますが、以下の方は再受験する場合、「インターネット申込」ができます。
- 平成27年度〜令和2年度までの「学科・実地」試験及び令和3年度の「第一次検定・第二次検定」を受験された方で、令和4年度の申込において同一種目で受験区分が「第一次検定・第二次検定」の同時受験の再受験申込者。
- 令和3年度の第二次検定を受験された方で、令和4年度の申込において同一種目で受験区分が「第二次検定のみ」受験の再受験申込者。
令和4年度に受験し、不合格で翌令和5年度に同一種目、同一受験区分で受験する場合はインターネット申込対象者となります。
インターネット申込には前回受験した際の受験番号が必要になりますが、有料の申込書一式の購入は必要なく、各種証明書類の添付も必要ありません。受験手数料の払い込みに関しては、インターネット申込する際に案内がありますのでそれに従ってください。



私の場合、令和2年度の旧制度で初めて受験して不合格(学科と実地を同時に受けて学科が不合格でした、、、)になり、翌令和3年度の新制度の試験で再受験、ようやく合格という流れでした。
再受験にはインターネット申込を活用し、顔写真もスマホで撮影したものをアップロードするだけで済んで、卒業証明書も必要なく、大変楽に手続きできましたので、再受験する際は使わない手はありません。
職人や現場担当者として数年間実務経験がある方なら参考書や過去問で勉強すれば大丈夫だと思いますが、まだ実務経験の浅い方や普段営業職の方はポイントが分かりづらいかもしれませんので、日建学院さんなど資格取得に特化したスクールを利用して効率的に勉強するのも一つの手です。
参考書や過去問で自主的に勉強できる方は十分独学で合格できる試験ですので、ぜひ受験してみてください。
合格すればあなたも「国家資格」の有資格者です!
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