現役職人が解説する空調屋の必須道具〜電動工具編

電動工具

今回は空調屋の必須道具のうち、電動工具を紹介していきたいと思います。

必要なシチュエーションも交えて解説していきたいと思います。

  

 

目次

インパクトドライバー

まずは建設業では大工さんや内装屋さんから設備、電気の業種まで幅広く使用されるインパクトドライバーです。

バッテリーの能力が7.2Vのペンインパクトドライバーと、14.4Vまたは18Vのインパクトドライバーが主流です。

似たような物にドリルドライバーというものがあり、インパクトドライバーが打撃と回転の組み合わせによるパワフルな作業が向いているのに対し、トルク調節ができ、打撃機能の無いドリルドライバーは繊細な作業に向いています。

電気屋さんがコンセントの取り付けなどでペン型のドリルドライバーを使っていたりします。

また、直径が65mmくらいまでにはなりますが、ホールソーを取り付けての穴開けもドリルドライバーの方が向いています。

インパクトドライバーだと叩きつける時にホールソーの刃が離れたりくっついたりするので、効率よく対象の素材を削っていくことができませんし、ホールソーの寿命も短くなってしまいます。

が、しかし、どちらかといえば空調工事においてはインパクトドライバーをお勧めします。(いずれはドリルドライバーもあったほうがいい)

空調工事において、インパクトドライバーのビットは基本的にはプラスビットをつけておくことが多いですが、8mm〜17mmくらいのナットに対応したソケットビットを取り付けて使用することもあります。

木造の建物で空調機や配管の吊り元を作るのにビスを打つ際は、かなりパワーを必要としますし、鉄骨の建物でも吊り元を作るときにボルトやナットを閉めるのも、ガッチリ締める事ができます。

そんな中でおすすめは、定番のマキタの7.2Vのペンインパクトドライバと、同じくマキタの4モードの18Vのインパクトドライバーです。

ペンインパクトドライバーは化粧パネルを取り付けたり、リモコンを取り付けたり、電線を繋いだりする時に大変重宝します。

 

4モードは普通のインパクトドライバーモードのほかに、

・設定した締め付けトルクでクラッチがかかり、オートストップする『ネジ締めモード』

・キリや小径ホールソーでの穴開けに適した回転のみの『ドリルモード』

・コンクリートへの下穴開けができる『震動ドリルモード』

の機能があり、合計で4モードになっています。

40mmくらいまでのホールソーなら鉄板の穴開けも可能ですし(メーカーの推奨を超えてますが、、、)、なんと行ってもコンクリートに3.4mmの下穴を開ける事ができるので、ノンプラグビスでスリムダクトを打っていくときなど重宝します。

そんな便利な4モードですが、以下の欠点があります。

・ヘッド部が長い、全体的に重たい

・使い方によっては壊れやすい

 

色々な機能を1台に詰め込んでいるため、ヘッド部がデカかったり、重たいのはしょうがないかもしれません。

重さに関しては、3.0Ahのバッテリーにすることで多少軽くなると思いますが、作業可能量が減るので、使用する状況に合わせて選択することが必要です。

また、特に回転モードで穴開けする時に無理な使い方をすると壊れやすいです。

メーカーのカタログでは穴開け能力はモードにもよりますが、鉄板で直径10mm木工で直径21mmくらいまでであり、それを大幅に超えると負荷がかかり過ぎてモーターが焼けてしまいます。

私の経験上、薄鉄板相手で直径40mmくらいまで大丈夫なのですが、重要なのは低速モード(本体上部の速度切り替えレバーを1にする)で使用することです。

高速モード(速度切り替えレバーが2)ではトルクが弱く、回転は早いのですが高い負荷がかかった時に急に止まり、モータにダメージを与えやすくなってしまいます。

低速モードであれば、トルクが強く、負荷がかかった際のダメージも低速モードより抑えられます。

いずれにしても、使用状況や個体差で壊れるタイミングはさまざまだと思いますが、上記のことに注意して使えば一般的な電動工具とそれほど寿命は変わらないと思います。

 

ハンマードリル

ハンマードリルはコンクリート造の建物でのアンカー打設や、回転モードでのφ210くらいまでの穴開け作業で使います。

空調工事では主に、あと施工アンカー(躯体が出来上がってから打設するアンカー)の下穴としては10.0mm、10.5mm、12.5mm、14.7mmあたりの穿孔をおこないます。

最近は18Vの充電式のハンマードリルでもこれらの作業をするのに必要十分な能力を持ったものが多いです。

回転モードによる穴開けも、直径110mmくらいまでなら18Vの充電式ハンマードリルでも不足無いと思います。

もし、「ダクト工事も行うので直径160mmくらいの穴を開けることも多い」

というのであれば、マキタの36Vや40VMaxなどのハンマードリルがいいでしょう。

最近は集塵機能がついているものが出ていて、集塵カップとくらべても圧倒的に粉が周りに飛び散らず、使いやすいです。

パナソニックも集塵機能がついたものがあるので選択肢に入ると思います。

KSK

ハンマードリルとしてアンカー打ちを行うことが多く、これからハンマードリルを購入するのであれば、集塵システム付きがおすすめです。
コンクリートの粉が目や口に入って不快な思いをすることも少なくなるし、作業服も汚れにくくなりますよ!

 

全ネジカッター

全ネジカッターは、その名の通り『全ネジ(全体がねじ切られたネジ棒のこと、寸切りともいう)』を切るための電動工具です。

空調工事では空調機や配管を吊るのに、多くの場合w3/8(3分)の全ネジ(寸切り)を使用します。

市販の全ネジカッターの多くがこのw3/8(3分)というサイズに対応しており、刃を交換すればw1/2(4分)の全ネジも切ることができたりします。

パナソニックやHi-koki(旧日立工機)が昔から発売しており、現在ではマキタ製もあるので、バッテリーの使い回しも考えて、他の電動工具と揃えるのがいと思います。

全ネジカッター自体の使いやすさでいうとやはりパナソニックかなと思います。

 

 

ボードカッター(角穴カッター)

 

『ボードカッター』は別名『角穴カッター』ともいい、天井材に使われている石膏ボードなどに切り込んで、天井カセット型の室内機用の開口を開けるときに使用します。

最悪無ければ引廻のこなどで地道に開けられなくも無いのですが、2、3台分だけでも開口していると腕がパンパンになってきます。

私的には業務用の空調工事をするなら必須の電動工具です。

これも全ネジカッターと同様、バッテリーが使いまわせるメーカーのものを選べばいいと思うのですが、一つ注意点があります。

マキタとHi-kokiのボードカッターはトリガーが無段変速なので、ゆっくり切り始めたりできるのですが、パナソニックのボードカッターは一定速では刃が上下しますので、使い勝手が異なります。

私は普段パナソニックで慣れているのですが、マキタを使わせてもらった時に切り始めが操作しやすかった覚えがあります。

いきなりハイパワーで切り始めると、ボードの裏の軽鉄下地やビスに当たった時にボードカッターが弾いて天井を傷つけてしまうリスクもあります。

どちらにしても慣れだと思いますので、手持ちのバッテリーが使いまわせるかどうかで判断すればいいかと思います。

 

ディスクグラインダー(サンダー)

 

『ディスクグラインダー』は現場ではほぼ『サンダー』と呼ばれています。

研磨に使ったりもしますが、空調工事では鉄材の切断などでも使います。

アングルやチャンネルなどの鉄材の切断に使える道具としては、バンドソーやアングルカッター、チップソーなどもあるのですが、とりあえずディスクグラインダーがあればなんとかなるかなと思います。

アングル切るだけならアングルカッターが火花も出ないし一番いいのですが、それしか切れないため、最初から揃えるより、余裕が出てからの方がいいかと思います。

ただ、ディスクグラインダーは本当に危険な電動工具の一つで、使う時に結構手に負荷がかかりますし、対象物に変な当て方をしたら弾いて自分の体に向かってきて怪我をすることもあります。

また、刃を変える際は必ず電源コードやバッテリーを外して行わないと、交換している最中に誤作動を起こす恐れもあります。

『自由研削砥石特別教育』という、このグラインダーの刃を交換、試運転するための講習があります。

知らず知らず危険な使い方をして事故が起こらないとも限らないので、これは本当に受けておいた方がいいと思います。

これもやはりバッテリー次第で、パナソニック、マキタ、Hi-kokiあたりから選ぶことになると思います。

 

墨出しレーザー

 

最後に墨出しレーザーを紹介します。

空調に限らず、新築や改修工事の現場は、墨出しから始まることが多いです。

空調機を設置する位置や配管を通す位置などを図面から読み取って、実際の現場で寸法を測り、床スラブにマジックや墨壺などで”しるし”をつけていきます。

この時、出したしるしを遠い距離のところまで延長したかったり、直角方向に寸法を出したいときなどに、レーザーが登場します。

また、空調工事では、床スラブに室内機(天井内に埋め込むタイプ)の吊り元の位置を墨出しして、その点にレーザーを置き、真上にレーザーを照射することで天井スラブに吊り元を作る場所を墨出しできます。

そこにアンカーを打つなり、アングルを流すなどして吊りボルトを下げる、というようにして空調機を吊ります。

私はずっとテクノ販売の墨出しレーザー(グリーンレーザー)を使っていて、特に不満は無いのですが、テクノに限らず狂った時の調整費が結構かかるのが痛いところです。

最近VOICEという会社が出しているグリーンレーザーが、普通にフルライン商社のグリーンレーザーとしてもお手頃なのですが、スマホアプリからBluetoothで遠隔操作が可能だったり、点検費無料、調整費も10,000円程度で済むとのことで、気になっています。

他にも色々なメーカーから発売されていますが、今レーザーを買うなら、

  • バッテリーが単3電池ではなく、専用の充電池で予備が付いている
  • フルライン照射のグリーンレーザー
  • レーザーの明るさが調整できる
  • 専用の受光器がある

上記の条件で選ぶと思います。

 

VOICEの公式サイト↓

まとめ

以上、空調配管工の業務に必須と思われる電動工具を紹介してきました。

全ネジカッターやボードカッターやレーザーなど、かなり昔には無かった道具も含まれていたりします。

最悪無くてもどうにかなるのかもしれませんが、現代の工事においては効率が悪過ぎて仕事を捌いていけないと思いますので必須とさせていただきました。

電動工具も人によって合う、合わないがあると思いますので、可能であれば先輩や知人や仕事仲間に使わせてもらったりして試してみるのがいいですね。

以上、参考になれば嬉しいです!

KSK
しがない空調配管工
地方在住の会社員空調配管工です。
まだまだ未熟者ですが、皆さんのお役に立つ情報をお届けできれば嬉しいです。
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